モニュメントの制作
大阪府立渋谷高等学校創立80周年記念モニュメントのできるまで

@粘土で等寸の形を作った後、石膏で表面を覆い雌型を取ります

A雌型の内側にポリエステル樹脂を塗り、固めた後、石膏雌型を取り除きます

B粘土原型と同じ形の樹脂原型ができます

C樹脂原型を鋳造業者に渡しブロンズにします。今回は富山県で鋳造しました

Dブロンズでできた作品になりました

Eブロンズ作品に着色します

F同時進行で岡山県の石材業者に設計図を渡し石を加工してもらいます

G樹脂の原型を富山から岡山まで運び、接着面が正確に合うように石の形を加工します

H設置する現場の基礎工事です。阪神淡路大震災級のゆれにも耐えられる設計にしています

I岡山県から出来上がった台石を運びいよいよ設置です。設計図通り合うか緊張の時です

J石の間隔や傾きの微調整をします。樹脂の原型を合わせ絶えず出来上がりの感じを確かめます

K富山県からブロンズ像が運び込まれ台石と組み合わせます。1体100kg以上あるのでクレーンでつります

L完成です。題名は『未来への階段』としました。台石を階段状に並べること。さらに下の女生徒が上を見上げ、その視線の先に立つ女生徒が左手を差し伸べて未来へ向かう。それらが天空に向かってうねるように構成されています。扇の形に石が並んでいますが、かなめの所に立って見ると一番美しく見えるように設計してあります

今回の制作は、構想に2年ほど費やし、アイデアを練りました。実際の制作は1996年12月から1997年9月まで10ヶ月かかりました。エスキース(習作)を作りいろいろな角度から検討。最初男女の組み合わせで考えていたのですが、構成を階段状にすることにしてから女生徒2人にしました。男女にすると上下を作ってしまうので性差別が問題になります。また、制服姿にするつもりだったのですが、そのうち制服が変わったり廃止されるかも分かりません。裸婦は学校には合わず、かといって夏服か冬服か、など考え出すと限がありません。このようにモニュメントを制作する時さまざまな条件をクリアしていかなくてはならないのです。構想から完成まで実に3年。私自身教員の仕事をしながらの制作は、時に睡眠3,4時間の生活になり、時には授業が終わってから富山県や岡山県を往復したこともあります。しかし、完成後、学校の風景に溶け込み、卒業式の日この像の前に立って記念撮影する生徒たちを見ていると、彫刻家として創り続ける幸福を感じます。

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